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てだこちゃんイラスト てだこの沖縄島通信

018号

貝や海藻のおつゆ
 
沖縄では陸の季節と同じように、海の季節感が普段の暮らしにとけ込んでいる様な気がします。というのは、若い人でも「モズクを採りに行こう」とか「アーサ採りに行って来た」などという会話をしていたりするからです。東京で海藻と言えばワカメかコンブかヒジキくらいしか食べないし、それらの海藻は東京から遠く離れた地域で養殖されていたり、採取されるもの、と思っていました。

しかし、四方を海に囲まれている沖縄では、海藻は買うよりも自分でとってくるもの!という感覚があります。もちろんコンブやワカメなどは寒い地方の海藻なので買いますが、沖縄ならではの海藻が季節になるといっぱいとれるのです。漁協の管轄で養殖しているものはもちろん勝手に採ってはいけませんが、天然で生えている海藻はみんなのもの。シーズンの日曜日ともなると、家族連れで海藻採りをする姿もよく見られます。

旧暦の3月3日に「浜下り(はまうり)」という行事があります。女性が海に入り、一年の厄を落とし健康祈願するというものですが、その日はあちこちの浜で女性達が靴を脱ぎ、渚を歩く風景が見られます。そのころは潮干狩りのシーズン幕開けでもあります。東京で潮干狩りと言えば、業者がアサリを撒いたものを潮が引いたときに熊手などで取って、キロいくらで計算して持って帰る、という形式でしたが、沖縄の潮干狩りは、潮が引いたサンゴの岩の上を靴を履いて歩き回り、タコや貝を捕ったり海藻を採ったりすることを潮干狩りと呼んでいます。ですから潮が引く前に貝をばらまくなんてことはいっさいしません。

そのかわり技量がものをいい、素人にはどこに何が居るかわからない様なところでもプロは(本当のプロもいれば素人なのにプロ顔負けの人もいます)瞬く間に獲物を発見して次々と捕っていきます。そのワザには脱帽するばかり。コツをプロに教わり、見よう見まねで挑戦してみるのも楽しいものです。

捕った貝はどうするかというと、私達素人の捕った貝は大抵おつゆの出汁用です。アサリやハマグリなどとは又ひと味違って淡泊な沖縄の貝のおつゆは美味しいですよ。みそ汁にしてもいいし、お澄ましでも。出汁を取りつつ実も食べる人もいます。

沖縄でポピュラーな海藻はやはりモズクとアーサでしょう。モズクは養殖が盛んなので、それらの切れ端れが流れ着き根付くとも聞くし、元々自生していたものが広がったとも聞きます。いずれにせよ、自分でとった海藻を料理して食べるのは、釣った魚を料理するのと同じく、とても楽しく充実した気持ちになります。モズクは酢の物で食べるのが普通ですが、あまりの大漁の時には追いつかないので、ざるそばの様にそのままざるに置いて、めんつゆにつけて食べるとたくさん食べられます。

アーサは、ヒトエグサという緑色のふわっとした海藻で、これも自分で取りに行くと楽しくて止まらなくなって大漁になる海藻です(^.^;)。沖縄では鰹だしに、豆腐の賽の目切りとこのアーサを入れた「アーサのおつゆ」が非常にポピュラーなメニューですので、旅行者でも出会える確率大です。また、乾燥させたものを市場などでも販売していますので自宅で再現することも可能です。

私はイタリア料理店を営業しているので、自分でとったモズクやアーサを入れたパンを焼いています。海草類を乾燥する技術は持っていないので、小分けにして冷凍保存しておいて少しずつ使いますが、沖縄の海の香りがするとても美味しいパンが焼けます(^-^)。
 



 
 




 


 
◇料理工房・てだこ(^o^) 亭
  http://www.tedakotei.com/

 


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