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ハムづくりと塩 ハムづくりと砂糖
美味しさの秘密・脂肪      食肉加工の始まり
我が国のハムづくりの始まり 鎌倉ハム
ハムはやっぱりドイツ? 燻材には何がBEST
ハムと凍結保存 食中毒の常識・非常識
冷蔵庫の常識・非常識 ケーシングとは

ちょっと難しい話や専門的な話をここには書いています。
もし、内容に誤りがあればゆるして下さいネ。文責はほりほりにあります。





ハムづくりと塩 

ハムづくりに塩は欠かせません。近年、減塩ブームという事で塩の量を従来より大幅にカットした食品が巷に出回りハム・ソーセージもその例外ではありません。もちろん、人の嗜好は時代と共に変わっていく物ですし、戦後、冷蔵庫の普及により保存を主目的とした塩の使用量が減ってきたのは当然の成り行きかと思います。では、塩は減らせば減らすほど良いのでしょうか。・・・ハムづくりの際に塩を加える目的としては「塩味を付ける」「保存性を向上させる」の他に以下の目的があります。
  1. 保水力と結着力を向上させる  
    肉に塩を加えると、肉中の塩溶性の蛋白質が溶けだしてきます。この溶けだした蛋白質は熱処理した際に、水と脂肪を包み込み、あのハムやソーセージ独特の食感を作り上げます。健康志向をめざして、あまりにも塩の量を減らしすぎた場合には塩溶性蛋白質の量が足りずに保水力・結着力不足となり、結果として他の食品添加物等で補填が必要となってしまいます。これでは本末転倒ですネ。(ソーセージづくりの場合最低でも2%前後の塩が必要不可欠です)

  2. 肉の旨味を引き出す。
    肉は塩漬けをする事により、肉のたんぱく質が溶け出し酵素が働きやすくなり、より多くのアミノ酸やペプチドを生成させます。また、塩漬けする事により独特のキュアリングフレーバーと呼ばれる熟成風味が出てきます。
    経験則からはこの時使用する塩は精製塩より天然塩の方が向いているようです。
    面白い事に塩化ナトリウムの純度が99.5%の精製塩の方が天然塩(当社で使っている塩は純度85%と95%の二種類)より塩辛く感じません。また、もっと精製度の高い塩(99.95%)は精製塩より感覚的には2割ほど塩辛く感じません。そこで、従来ハムづくりには精製度の高い塩を使う場合が多かったようです。(塩溶性蛋白質の抽出も純度が高い方が良い結果を生み出します。国内外の教科書にも純度の高い塩を使うべしとの記述もあります)ところが長期間の漬け込みをすると、この塩辛く感じたはずの天然塩の方が塩かどの取れた丸い?塩味になってきます。塩とはなかなか面白い物ですネ。
    ・・・ハム・ソーセージに限らず適正な量の塩を使った食品を、適量食べて頂きたいと作り手としては思っています。

  3. おまけの話  
    話は違うのですが、その昔、陸軍の食料部門を担当していた播州ハムの初代社長の話によると「捕虜に脱走する気力をなくするマル秘のテクニックとして、食料は与えるが塩を与えない」という方法が軍隊にはあったそうです。
    最近は、塩の取りすぎに対する弊害をよく目にしますが、これは精製塩の場合の話しであって、天然塩については逆にしっかりと取る必要がある...という説もあります。塩とは奥深い物ですネ。


  

ハムづくりと砂糖 

 ハムづくりに砂糖は塩に次ぐ重要な役割があります。
  1. 風味の改良   
    塩漬の際、砂糖を添加することによって塩かどを取る事が出来ます。その際、純度が高い白ざらめやグラニュー糖等を使うと甘みが軽く、純度が低いさとうきび砂糖(黒砂糖)や三温糖を使うと強い甘みとコクを出す事ができます。ただ、ハムの教科書では純度の低い粗糖はネト(ハムの表面に出てくるネバネバで腐敗の一歩手前)の原因となるのであまり使うべきではないとされていますので、使用に際してはケースバイケースで対応していくのが良いのではと私は考えています。(また、砂糖は加熱に対して肉の蛋白質と反応して風味を強めるとも言われています)

  2. 肉質を柔らかくする
    砂糖は塩とは逆に水分を吸収し、そのまま離さないという性質があります。このため砂糖を添加する事によって製品を柔らかく保つ事が出来ます。(製品によっては必ずしも必須という訳ではなく、強い乾燥を目的とした製品には砂糖は使わない場合もあります) 

  3. 乳酸発酵を促す
    サラミづくりなど乳酸発酵を期待する場合には糖類は重要な役割を担います。pH値が均等に下がるのを助けます。砂糖1%添加するとpHが1下がるとされています。(サラミづくりの際にブランデーやラム酒を使うのも風味付けや殺菌の他にこの乳酸発酵を促すという目的があります) 

  4. その他
    • 焼き豚を漬け込む際の醤油には砂糖を多く使いますが、これは焼き豚の焼き色をよくする働きがあります。(お店によっては焼き上がり直前に麦芽糖を入れた醤油ダレに再度漬けて焼くところもあります)
    • 糖類は硝石から亜硝酸塩への分解を助けると言われています。
    • アメリカの文献を読むと砂糖と共にコーンシロップがよく登場してくますが、これはコストが安いのが最大理由と思われ(砂糖よりも発色促進効果が高い・・・等の理由もありますが)本物のハムづくりには不要だと思っています。(蛇足ですが岩塩を使う理由は文献を読むとコストが安いから・・・となっています)



美味しさの秘密・脂肪 

ハム・ソーセージの美味しさの秘密に「脂肪」があります。
  • ハムは一般的に適度な脂肪がある方が美味しいですし、ソーセージも赤身肉だけで練り合わせて作るとばさばさしてまるで美味しくありません。また、その際使用する脂肪は豚の背脂肪が最適とされています。

  • ではなぜ豚の背脂肪が向いているのでしょうか?その理由として豚の背脂肪の融点は人間の体温に近く、口どけが良いからと言われています。最近自家製ソーセージづくりにチャレンジされる方が脂肪のほとんどない赤身肉だけを使って失敗するという例が結構あります。塩を減らしすぎると練り肉がまとまらないのと同様に昔からの製法にはそれなりの理由があります。自家製ソーセージづくりにチャレンジされる場合はまずは基本のレシピを守って頂ければと思います。

  • では、脂肪がおいしさの秘密ならば「牛の脂肪」を使うとどうか・・・と思われる方もおられるでしょう。しかし残念ながら(牛ステーキの脂は熱い間はおいしいが、冷えると脂っぽくなるという事からも分かるように)牛の背脂肪は融点が高く加工には不適です。

  • また、同じ豚の脂肪でも色が白くてしっかりとしたものが最上とされ、色の濁ったような背脂肪や腎臓脂肪は脂肪が分離しやすく加工には一般に不適とされています。

  • ただし、イスラム料理ではマトン(羊)の脂肪を肉料理でバターの代わりに使うと聞いたことがありますので国によってはこの論理は通じないかもしれません。(ラム・子羊よりマトンの方が好まれるそうです)

  • この話を書くとソーセージを敬遠されそうですが、大手メーカーさんが何度となく低脂肪ソーセージや植物性脂肪を使ったソーセージを出してはあまりうまくいっていない事からも、適量の脂肪はソーセージづくりに不可欠のようです。ソーセージをお一人で多量に食べるという方はほとんどおられないかと思います。作り手としては、正しく作られたおいしいものを適量召し上がって頂きたい・・・と願っております。


 

食肉加工のはじまり  
  • 食肉加工の歴史は大変古く、西欧では3000年前からすでにハムに類する食肉の加工が行われていたとされています。その他にも、ソーセージの発生の起源を中国とする説や5000年前にシュメール人がはじめてソーセージを作ったという説など色々ありますが紀元前700年、ギリシャの詩人ホーマー(ホメロス)の記したオデッセーの一節に「敵を負かした勇者よ!一番よく焼けたソーセージを選び給え」というのが文献として出てくる一番古いものだと一般に言われています。


  

我が国のハムづくりのはじまり  
  • 日本で最初に食肉加工品が渡来したのはポルトガル船が種子島に漂着した時で、これを契機に鉄砲やカステラ、南蛮料理などと一緒に伝えられました。

  • しかし、その後の徳川幕府の鎖国政策によって海外交易は長崎出島だけとなり(出島ではオランダ人の手によってハムは作られていたと思われますが)その技術が日本人に伝えられたという記録は残っていません。

  • その後、明治維新によって肉食の風習が起こり、あわせて食肉加工も行われるようになりました。文献に残っている我が国の食肉加工の歴史は長崎にはじまったといわれており、明治5年には長崎に巡幸された明治天皇にハムが献上されたという記録も残っています。(明治5年東京農事試験場、明治9年には札幌養豚場でハム試作の記録があります)


 

鎌倉ハムの誕生  
  • 一般に日本のハムづくりの元祖として知られる「鎌倉ハム」の起源は、明治7年・神奈川県戸塚でのイギリス人ウィリアム・カーティスの創業に始まりました。カーティスは戸塚に外国の船員相手のささやかなホテルを開業し、西洋式の食事を出したところ好評を得て、やがてホテルの裏に牛、豚、鶏の飼育場を設け牛乳、バター、ハムの製造を開始しました。

  • そのハム・ベーコンの将来性に目をつけた斉藤満平という人が、カーティスの妻・おかね(斉藤の養女と言われています)を通じて、彼に頼みこんで食肉加工の技術を教わりました。(これには色々な説があるようです)

  • その後、斉藤の作ったハムは全国的にも知られるに至り、その隆盛ぶりを見て、これにならう者が次々現れ、ハムの製造は神奈川県物産屈指の地位を占めるに至りました。 そして、そのころの戸塚は神奈川県鎌倉郡に属していたため、その近辺で作られるハムはいつしか「鎌倉ハム」と称されるようになり、外国製品と区別される様になったそうです。 


 

ハムはやっぱりドイツ?

我が国の手作りハム・ソーセージは圧倒的にドイツタイプのものが主流を占めています。これはもちろんドイツがハム・ソーセージの本場という事もありますが・・・
  1. 第一次世界大戦中、中国の青島で捕虜となったドイツ人(ローマイヤ、ヘルマンウォルシュケ、ブッチングハウス、ケテルなど)が日本にとどまり、ドイツ式のハムの製造を始めた。

  2. 畜産試験所がドイツ人捕虜カールヤーンより受けたそれまで秘法とされていたソーセージの製造法等の技術を一般に公開した。(大正8年の青きドナウをご参照下さい)

  3. 明治の末期横浜居留地において食肉加工品の販売をしていたドイツ人・マーチンヘルツに学んだ大木市蔵氏が広く日本人技術者を育成した。
・・・という事も現在日本でドイツ式のハムが主流をしめている大きな要因となっているかと思います。もちろん、スモークを利かす製法が高温多湿の日本の気候風土にあっていたのも大きな理由のひとつだと思います。

 

燻材は何がBEST?  
  • ハム・ソーセージの燻煙には樹脂の含有量が少なく香味がよいヒッコリー・楢・かしといった堅木(広葉樹)が向いているとされています。逆に杉・松等の軟木(針葉樹)は樹脂量が多く、製品が黒くなるので通常あまり使用しません。またカキ、クワは樹脂の含有量は多くないが不快臭がある為燻材には適さないと言われていますし、日本ではポピュラーな桜は樹脂が多く独特の香りがするという理由で欧米では使われません。

  • 一般に最高と言われるヒッコリーは、どうやら欧米では入手し易いというのが本当の理由のようです。(日本で桜というのも同様です)

  • 色々な文献を読むとではドイツでは、ねず・ぶな・かば、イギリスではオーク・ぶな・リンゴ、デンマークでは赤揚、カナダではヒッコリー、アメリカでは白樺・かし、そして、日本では桜・かし・楢・ぶながよく使われています。

  • ただし、ドイツの生ハムの中には針葉樹で燻煙して作る黒い生ハムやベーコンもありますし、日本人にとって桜の燻煙色と燻煙臭が少なくともきらいでないのは事実だと思いますので(山桜でスモークしたものは素晴らしい色と香りになります)、一般的な目安としてはマイルドな香りに仕上げたいときはりんご、濃い色を付けたい時は楢といった風に用途に応じて使い分けるのが良いようです。

  • また、隠しワザとしては燻煙の香りをマイルドにするために、チップにコーヒー豆、ハーブ、ワイン、砂糖等を混ぜるいう方法もあります。自家製ハムにチャレンジされる方はぜひ試してみてはいかがでしょうか?


  

ハムと凍結保存 
  • 通常のハム
    結論から言いますとあまり凍結保存は好ましくありません。通常のハムを家庭の冷蔵庫で凍結すると、どうしても緩慢凍結となり、小さな氷の結晶が肉中に出来てしまいます。これが解凍時に溶け出すことによって旨味が流出し、食感も変わってしまう原因となります。また、ハムはその製造工程で63度以上で30分以上の加熱工程を行っているため(蛋白質が熱変性して固まっているため)お肉と比べて、冷凍による品質劣化が大きくなってしまいます。

  • その他の食肉加工品
    生ハム」はその製造工程で蛋白質の熱変性が少ないために(20度前後の低温で燻煙するか、もしくは長期間の乾燥のみで仕上げます)、上手に凍結すればほとんど同じ様な品質で召し上がることが出来ます。
    また、特定加熱食肉製品に分類される「ローストビーフ」などはハムに比べ て熱変性が少ないため凍結してもまずまずおいしく食べることが出来ます。あと、日本で発売されている「ベーコン」は通常加熱されていますが、脂肪分が多いためハムに比べるとそれなりに食べることが出来ます。なお、「サラミ」などの乾燥食肉製品は常温で長期間保存できますので凍結の必要はありません。
 

 

食中毒の常識・非常識 
  • 臭ってみても分からない!
    食品を「まだ、大丈夫かなぁ?」とクンクンと臭いをかぐ姿をよく目にしますが、恐ろしい食中毒菌は腐敗菌とは別の種類で実は臭いはほとんどありません。意外とこれは知られていないので注意が必要です。

  • 時間と共に増える
    食中毒菌は時間経過と共に倍々と増えていきます。そのため出来立てのものを食べた人は大丈夫だったのに、数時間後に食べた人が当たってしまったという例があります。

  • 過信は禁物(冷蔵庫、加熱)
    冷蔵庫は菌の繁殖をストップさせることは出来ません。そこで少しでも不安な場合は、火を通してお召し上がりになることをお薦めします。ただし、黄色ブドウ球菌のように菌は加熱で死滅しても毒素は残る場合があります。くれぐれも過信は禁物です。

  • 体力を落とさない
    近年、猛威をふるっている0-157の発症は特に小さいお子さんとお年寄りに集中しており、体力のある年齢層では例え保菌者でも症状が出ない場合があるそうです。(8月に続いて発生件数の多い月は、疲れが出てまだ意外と気温の高い9月・・という事実があります)


 

冷蔵庫の常識・非常識 

弊社メールマガジンをご愛読いただいております飯田さん(料理学校講師)から頂戴しましたメールから抜粋してご紹介させていただきます。
  • すぐに冷えない
    業務用の冷蔵庫と違い家庭の冷蔵庫は一度開けると、なかなか下がらないということを一般の主婦の方は気づいておられません。その為、いつまでもドアを開けている方が多い。これはメーカーが公示すべきことと思います。 (教えると冷蔵庫が売れないのかな?)

  • 保存容器は丸形
    業務用の保存に丸形容器が多いのは冷気が通りやすいためです。(完全冷凍したものなら四角形を積み重ねても大丈夫)家庭の冷蔵庫は四角いタッパウエアーを所狭しと詰め込んで冷気の通る隙間が無くて意外と早く品物が腐ってしまう。なかには、丸形だときっちりと収まらないとわざわざ角形容器を買い求めるようです。そのため今、世間を騒がせている食中毒を自分たちが起こしているのに気づいていない。その中で、ハムソーセージ類のようなパテ製品が意外と早く足が来てしまいます。

  • 詰め込みすぎない
    冷蔵庫にも、入る量というものが決まっています。私の知っている家庭の冷蔵庫は詰め込みすぎの場合が多かったです。

  • 冷蔵すれば腐らない
    冷蔵していると菌の繁殖が鈍くなるだけで冷蔵庫内でも少しずつ劣化していることを知っていただきたいと思います。

  • 冷凍すれば腐らない
    冷凍庫は長期保存が可能と言うことで、無計画に食品を買い込んで一定以上の期間入れていると「冷凍焼け」を起こして、破棄する結果となります。

  • 冷蔵庫の中は乾燥しやすい
    その通りですが、開閉の多い冷蔵庫と日本の湿度の多さもあって、そうとも一概には言えません。

  • ラップをすれば大丈夫
    テレビように完全にラッピングすれば問題ありませんが、ほとんどの主婦のラッピングはいいかげんなため冷蔵庫の臭いが移ってしてまいます。




ケーシングとは 

  • ケーシングとは本来、ソーセージの練り肉を詰め込むための羊や牛の「」を意味していました。

  • ですが人工のケーシングが登場してからは、食べることができるタイプ、食べることができないタイプを含め、ソーセージなどの食肉を加工するときに使用する包み全般を意味するようになっています。

  • ケーシングは大別すると天然ケーシング(羊、豚、牛の腸)と人工ケーシングに分けることができます。
    人工ケーシングはさらに食べることができるタイプ(コラーゲンケーシング)と、食べることができない(セルロース系ケーシングやプラスチック系ケーシング等)に分類する事ができます。





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